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時代考証とは?

例えば戦国時代の日本では人々はどんな物を着てどんな道具を

使用していたでしょう?

設定の時代に服装や文化などが合った物が

使用されているか検討することです。

 時代劇というのは、昔からのテレビや映画の「お約束」に従って

作られています。そのため、実際の昔の資料を調べてみると、

当時の様子とは違うことがよくあります。

実際の戦国時代とフィクションがどう違うかというのを

軽く動画にしたので見てみて下さい。

戦国ないないサムネ1.jpg

衣装に関してフィクションと実際が違う例を

挙げると、烏帽子(えぼし)の被り方があります。

時代劇では烏帽子は頭にすっぽり被る帽子のような形に

なっていますが、実際の鎌倉時代・室町時代の烏帽子は、

髷に結び付けて頭にのせるもので、

すっぽりと被るものではありません。

些細なことに見えますが、

当時の常識に従って些細なことを積み重ねて

映像を再現していくことで、本物の雰囲気が出てくるものだ

と私は考えております。

烏帽子比較図.jpg

このようにして、昔の様子がどうだったかを

考えていくわけですが、頭で分かっている事が

すぐに形になる訳ではありません。

衣装を作る際は生地から探し、装束店や仕立て屋と

相談しながら製作を進めていきます。

装束店とは、神社や時代祭りなどで使う衣装を作っている業者です​。​

実際に映像にする

実際に時代考証をして映像化するサンプルとして、

​短編映画「つはもの―ツワモノ―」を制作しました。

全編を昔の様子で制作すると予算が足りませんので、

現代人がタイムスリップするというストーリーにしています。

室町時代の終わり頃(1500年代前半)の様子を

予算の許す範囲でリアルに再現しています。

ストーリーも能「正尊」をベースにしており、

この作品も1500年代に書かれたもので、

当時の常識や価値観に沿った展開になっています。

readyfor用つはもの_小.jpg

短編映画「つはもの―ツワモノ―」

​新しい発見も

 ビジュアルを時代考証していくと、新しい発見も。戦国時代の服装に「肩衣(かたぎぬ)」というものがあります。これは武士などが着る一種の正装で、有名な織田信長の肖像画が着用しているのも肩衣です。肩衣をジャケット、袴をパンツ、その中の着物(小袖)をシャツと例えると、イメージしやすいと思います。

 現在の常識では、肩衣には「衽(おくみ)」という部分はないとされています。衽とは、下の画像で黄色で示した部分で、着物には衽があります。

肩衣袴の説明.jpg
おくみの図__.png

 実は、戦国時代に描かれた肖像画をよく観察すると、肩衣には衽があるようにしか見えません。

​ しかし「常識」では、肩衣には衽がないことになっています。これはどういう事なんでしょう。

実物の戦国時代の肩衣がないかと調べてみると、

足利義昭(室町時代最後の将軍)が使っていたという肩衣が

広島県の常国寺に伝わっているのを発見しました。

この肩衣はまさに「衽」のあるものであったので、

戦国時代の肩衣には衽があることが判明しました。

このように「常識」だと思われていたことも、

時代考証をすることで、必ずしも正しいとは限らない事が分かります。

足利義昭肩衣__.png

広島県福山市常国寺に伝わる足利義昭着用の肩衣
(画像クリックで福山市のページへ)
​※黄色で示した部分が「衽(おくみ)」

​話し言葉の再現

400年前、500年前ともなると、

昔の人は当然、現代語は話していません。

文法や発音の仕方など、現代語とは違う所がたくさんあります。

 

そもそも、

口語(しゃべり言葉)というのは記録が残りにくく

昔の口語の様子を知るのはとても困難です。

しかし織田信長や豊臣秀吉の時代の口語は

そこそこ調べることができます。

​下の動画では、そんな話題について触れているので見てみてください。

戦国時代の日本語はなぜ分かるサムネ2.jpg

短編映画「つはもの―ツワモノ―」では、

セリフも当時の言葉に近づける試みをしています。

 

ただ、文献で当時の日本語の様子を

ある程度調べられても、それを実際にしゃべるとなると

簡単にうまくいく訳ではありません。

発音やアクセントの問題があるので、

実際に当時の言葉を話せるネイティブがいない状況では

「完全な再現」に到達するのはほぼ不可能です。

「つはもの―ツワモノ―」では、言葉の再現というよりは

​当時の口語に「近づける」という形を取っています。

ただ、文献を調べて言い回しなどを確認しているので、

いい加減な創作ではありません。

こうしたチャレンジをしているのは動画では初です。

特にフィクションの中でこうした試みをしているのは、

​今まで例のないことなので、文化的に価値のある事だと言えます。

「口語の再現」に関しては、近日公開予定のプロジェクト、

「戦国時代の日常の瞬間を再現する」で

チャレンジする予定です。

Amazonで視聴→

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